まちと⼈vol.3
まちと⼈vol.3
下北沢 中華料理店
下北沢 中華料理店
話す人 王さんの菜館 店主 王 立臣(ワン リーシン)さん

華料理店『王さんの菜館』店主。一九九九年に中国・大連から日本へ。全国各地で日本料理店や中華料理店で修業を重ね、二○○八年に下北沢で独立。五反田にある2店舗目は、弟が店長を務める。ボリュームがあり、美味しい中華料理にはファンも多く、常連さんも多い。自身も下北沢に在住。 *以下、当日は従業員の方が通訳をしてくださった上で、王さんにお話を伺いました。

話す人 王さんの菜館 店主 王 立臣(ワン リーシン)さん

華料理店『王さんの菜館』店主。一九九九年に中国・大連から日本へ。全国各地で日本料理店や中華料理店で修業を重ね、二○○八年に下北沢で独立。五反田にある2店舗目は、弟が店長を務める。ボリュームがあり、美味しい中華料理にはファンも多く、常連さんも多い。自身も下北沢に在住。 *以下、当日は従業員の方が通訳をしてくださった上で、王さんにお話を伺いました。

中国・大連から日本へ。 36年間、ずっと料理人。

日本に来たのは22年前。友人から「日本に行ってみないか?」と誘われたのがきっかけです。大連にいた15歳の頃から、ずっと料理人として働いています。勉強はあまり好きではなかったけど、料理は昔から好きでした。有名な料理人が地元の街に住んでいて、最初はその人から習いました。東京に来て、最初に勤めたのは四谷の日本料理屋さん。3年間ほど働いて、友人の紹介で、今度は名古屋へ。中華料理店で、5、6年間ほど勤めたあとに、横浜の中華街へ行きました。そして、13年前に下北沢で独立。『王さんの菜館』という、自分の名前のついた店をオープンしました。自分でお店をやる時には、どこで開こうかといろんな場所を巡りました。あちこち見ていたけれど、この街に来た瞬間、一目惚れでした。若い人も多く、何より、いきいきしている街。下北沢の雰囲気がすごく好きになって、いまもその気持ちは変わりません。

街でも店でも「王さん!」と、 声をかけてくれる人たちがいる。

オープンしてから、昼も夜もたくさんのお客様が来てくれています。昼は下北沢で仕事をしている方々が。夜は、下北沢に住んでいる方々が。コロナ前は、下北沢という街柄もあって、アーティストの方が多く来てくれました。音楽をやっている方、詩を書いている方、グループで来てくださる方も多かったので、貸切でもよく使ってもらいました。お客様のほとんどが常連さんで、一度来たら何度も通ってくれる方が多いですね。もともと、私の料理は美味しいから(笑)。美味しいし安い、と通ってくれていました。常連さんばかりなので、お客様のことはほとんど覚えています。お客様も私のことを覚えてくれている。下北沢で買い物に出かけると「おーい、王さん!」とお客様に声をかけられることも多いです。私は、あまり日本語がうまく話せませんが、常連さんの方々はお店に来ると、必ず調理場に顔を出して声をかけてくれます。「はい、王さん!」「じゃあね、王さん!」と。お客様との仲が良いので、中国に行った際や出張のお土産をくださることもあります。店にかかっている壁掛けはお客様からプレゼントされたものです。お酒が好きなので、お酒を持ってきてくれたり。コロナの前はお客さん同士が仲良くなることも多くて、自然と仲間のようになっていました。私とお客様は、もう友人のようで、お付き合いもとても長いです。用事があって休みにしていると「あの日、休みだったけど何かあった?」と心配して、覗きにくる方もいますよ。

今日も、これからも。 下北沢で「王さん」の料理を待つ人のために。

コロナなので、いまは、少人数でいらっしゃる方も多いですね。テイクアウトもやっていますが、宅配サービスのコメント欄を見て「あっ、この人だ!」と常連のお客様がわかることもあります。注文してくれているんだなとわかって、嬉しいですね。お客様はどうしても少なくなってしまったので、やっぱりちょっと静かで寂しいですね。でも常連さんたちが心配してくれて「王さんのお店が無くなったら大変!」って言葉をいただいたりして。お客様がお友達を紹介してくれることも多く「こんなお店が下北沢にあったんだ!」って言ってくれることもあります。私は、料理をするのが本当に好きで、唯一の趣味と言ってもいいくらい。好きなものと聞かれても、他に思いつきません。休みの日でお店に立っていなくても、家で料理をつくります。料理はつくるのも好きだし、食べにいくのも大好き。同じく中国から日本に来ている友人たちと美味しいお店を探して、食べにいくことも多いです。五反田には、2号店があって、弟が店主をしています。弟は、自分を追いかけて家族とともに日本にやってきました。家族は兄弟3人いますが、みんな料理人で、本場の職人として働いています。私は、これからもずっと下北沢で料理をつくっていきたいですね。下北沢は、本当にいい街。お客様もいい人ばかりです。時短営業をしていても「王さん頑張ってね」と言ってくれる人たちがたくさんいます。だから、来るお客さんが少なくなっても、顔見知りの人たちが来るならとお店を開け続けています。下北沢に住む人たち、下北沢に勤める人たちが気軽に来て、帰ってこれるようなお店でありたいですね。

【店舗情報】 王さんの菜館 中国・大連出身の王さんが店主を務める、中華料理店。本場の味をリーズナブルな価格で、お腹いっぱい食べられると地元の住人に愛されている。大人数の場合は、貸切も可能。テイクアウトも販売している。 東京都世田谷区北沢2-17-10 第2滝本ビル 1F 03-5430-0351